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卓越たいなら文化を 178

<卓越たいなら「文化」を>

 

1.”マネジメント”再確認

また、ドラッガーの言葉から始めるのですが「発展途上国など存在しな
 い。あるのは“マネジメント”途上国である。」というもので。
 “マネジメント”こそが、国を発展させる原動力であると言います。
 もちろんこれは企業(組織)全般にも言えることで、そうしたらそんな
 にご利益のある“マネジメント”の効果を知りたいとなります。 

 そこで、マネジメントの成果である国内総生産高(GDP)を見ます。
 ※GDPとは、国内で産み出された“付加価値の総額”のことです。

 ・全世界の国内総生産高(GDP)ランキング  (2018年)
                        (単位 10万ドル)
 1位.アメリカ 20,494 2位.中国 13,407 3位.日本 4,972
 4位.ドイツ 4,000 5位.イギリス 2,829  
 20位.スイス 704 71位.ルクセンブルグ 69 
  最貧は191位 ブルンジ 307  192位 南スーダン 303
 日本は、世界で第3位の生産高を誇ります。

 ところが、これを国民一人あたりで見ると様子が異なってきます。 
 ・全世界の国民一人当たりの総生産高(GDP)ランキング (2018年)
                        (単位 ドル)
 1位.ルクセンブルグ 114,234 2位.スイス 82,950 3位.マカオ 82,388 
 4位.ノルウェー 81,695 9位.アメリカ 62,606  18位.ドイツ 48,264
 日本は、なんと26位 39,306 で、そして中国は、70位 9,608 です。 

 このように日本は世界で26位で“マネジメント”に関しては、未だ課題
 のあることが浮き彫りにされ、中国に至っては70位と経済中途国である
 と判断されるのです。

  今まで、さんざん“マネジメント”について語らせていただいているの
 ですが、マネジメントについてのドラッガーの見解を確認しますと、
 ドラッガーは明確に「マネジメントとは“文化”であり”価値観と信条”
 の体系である。それは、それぞれの社会が、自らの『価値観と信条を活
 かすための手段』である」と規定しています。

 因みに確認のため“マネジメント”の「基本機能」を述べます。
 「顧客」に満足してもらえる効用(商品・サービス)を提供する、これ
 が“マーケティング”で、変化に合わせまたは変化をつくり、よりよい
 効用を提供“イノベーション”で、国の場合「国民」となります。
 「顧客に満足を」の「価値観」が普遍化すると「文化」となります。
 
 
 ドラッガーの言に従うと“マネジメント”を巧みに活かし実行すること
 で“GDP”も“企業の付加価値”も上がるということになります。
 ここで極端な結論としてまた核心の結論として言うなら、企業において
 は経営者が「真理である価値観と信条の体系を持ち、自らの価値観と信
 条を活かすための手段を駆使する。」ことが求められるとなるのです。

 もう少し「一人当たりの生産性の高い国」についての共通項を探って、
 その特徴を引き出して行くと、それは4つの群に分かれ。 
 1.欧米 2.旧英連邦国 3.石油産油国 4.中継貿易国 がそれで
 石油産油国以外には明確な特徴があることが窺え、これらの国の“文化
 的特徴”を知ることが“マネジメント”の機能の確認になります。

 「生産性の高い国の共通特性」は、一言で言うと民度が高いということ、
 つまり教育水準が高く、自由・平等・自立の精神が確立されていること
 で、このことは企業そのもにも言えることで、
 そこで問題は、教育は後付けで付加できるので、文化(自由・平等・自
 立)を“マネジメント”がいかに確立するかということとなります。

 極論を言うと、経営者の役割は『文化を確立する』ことであり、
 これに巧みだったのが、過去の経営者だったら松下幸之助さん、本田宗
 一郎さんと藤沢武夫さんコンビ、井深大さんが挙げれます。
 そして、ジャックウェルチは「最も競争力をもつ企業は“共有化された
 価値観”をうまく使える組織である。」と言っています。

 良きビジネスリーダーについては「ビジョンを創り出し、それを明確な
 言葉にする。そしてそのビジョンを情熱的に保有し、容赦なくそれを実
 現に向かわせる人間である。」とウェルチは言います。
 卓越できる企業になるためには、人材の卓越できる環境(文化)なくし
 て適うことはなく、それはマネジメントの基本である活動です。 

 

2.「人の成長」こそが
 “人使いの達人”松下幸之助さんは「人間は本来働きたいもの。働くこ
 とをじゃましないことが、一番うまい人の使い方である。」と言い。
 ジャックウェルチは「リーダーになる前の成功とは、自分自身を成長さ
 せることである。リーダーになったならば『成功とは他人を育てること
 である。』」とリーダーのあり方を規定します。
 
 ドラッガーは「『人こそ最大の資産である』という。マネジメントのほ
 とんどが、あらゆる資源のうち人がもっとも活用されず、その潜在能力
 も開発されていないことを知っている。だが現実には、人のマネジメン
 トに関する従来のアプローチのほとんどが、人を“資源”としてではな
 く、問題、雑事、費用として扱っている。」と実情を批判しています。


 松下幸之助さんと稲盛さんの創業の経緯を観ます。
 そこには「よくあるケース」として取り上げられもしない「卓越した人
 材を失ってしまう」典型的な中間管理職の対応の姿があります。
 よく経営者が言う「良い人材がいない」というのは大きな錯誤で、人材
 を発掘する“システム”“ノウハウ”を知らないがための不幸です。
 
 松下幸之助さんが起業した経緯ですが、
 「いろいろ相当苦心して工夫してつくった改良ソケットを上司に見せた
 ところ、使いものにならないと酷評されてくやしい思いをした。」のが
 きっかけになったそうで、もしこの時、聞く耳を持った上司がいたなら
 「大阪電灯内」に有望な新事業部門が立ち上がっていたかもしれません。

 稲盛さんが京セラを立ち上げたのも同じような経緯です。
 松風工業という碍子メーカーに勤めていたのですが、セラミック真空管
 の試作に悪戦苦闘しているさ中に、新たに着任したばかりの技術部長に
 「君の能力では無理だな。ほかの者にやらせるから手を引け」と引導を
 渡され、これが会社を辞めて起業する契機となったそうです。

 この時の心境をこのように吐露しています。
 「私はとかく思い込むとわき目もふらず独走する。それを『彼は自由に
 させた方が力を発揮するタイプ』と前任の部長は任せながら支援をして
 くれた。後任は外部からきた人で『あなたこそニューセラミックスがわ
 かるのか』と頭の血が逆流した。」とその時の状況を明かにしています。

 またドラッガーの言葉を引用します。 
 「組織には“価値観”がある。そこに働く者にも“価値観”がある。組
 織において成果を上げるためには、働く者の価値観が組織の価値観にな
 じむものでなければならない。同じである必要はない。だが、共存しえ
 なければならない。さもなければ、心楽しまず、成果を上がらない。」

 ジャックウェルチ「人に自信を持たせることが、わたしにできる何より
 重要なことだ。自信さえ持てば、人は行動を起こすからである。」と。 

 あなたが経営者なら、達人技をマスターすることこそが力となります。
 「マネジメント」の本質と一体化するならば、松下幸之助さんや稲盛さ
 んのような「利他」を行いつつ、業績を上げることとなるでしょう。
 ここで大切なことは「腑に落ちる」ことで、それが起こったなら勇気を
 持って精進し努めることで後は試行錯誤して“やり通す”ことです。

 リーダーになると「成功とは他人を育てることである。」となります。
 経営者になると「リーダーをも育てることである。」となります。
 ドラッガーは「組織が一人ひとりの人間に対して位置と役割を与えるこ
 とを当然としなければならない。同時に、組織をもって自己実現と成長
 の機会とすることを当然のこととしなければならない。」と言います。